広島の土で器を作るということ
陶芸には「地元の土を使え」という昔からの言い方があります。その意味が見えてきたのは、近くの山の土を実際に掘り、素地に混ぜて焼いてからです。
広島近郊の土の特徴
広島県西部の山地には、花崗岩が風化した「まさ土」が多く分布しています。長石と石英を多く含み、陶芸の素地土としては粒子が粗めです。単体では成形しにくいため、可塑性の高い粘土と混ぜて使います。
この土を素地に混ぜると、焼き上がりに独特のざらつきが出ます。手に持ったときの感触が、滑らかすぎない。それが日常使いの器に向いていると思っています。
採取から使用まで
土の採取は年に2回、春と秋に行っています。採取した土は乾燥させてから砕き、水に溶かして不純物を取り除きます。その後、乾燥させてから粉砕し、市販の粘土と配合します。
この工程に時間がかかるため、地元の土を使うことが必ずしも効率的ではありません。でも、素材の出所がわかっていることは、器を作る上での安心感につながっています。
土と釉薬の組み合わせ
地元の土を素地に使うと、釉薬の発色が市販の素地土とは少し違います。鉄分の含有量が違うためです。同じ木灰白釉でも、素地が変わると焼き上がりの色が変わります。
この組み合わせを試行錯誤しながら記録しているのが配合ノートです。地元の素材を使うことで、他のスタジオとは少し違う表情の器になっていると思っています。
広島の土で作った器が、広島の食卓で使われる。それが一番自然な循環だと感じています。