木灰釉の自家調合と、配合ノートの記録
市販の釉薬を使えば手間は省けます。でも、自家調合を続けているのには理由があります。素材が変わると色が変わる。その変化を記録し続けることで、少しずつ自分の釉薬になっていく感覚があります。
木灰を集める
木灰は近隣の農家から分けてもらっています。樹種によって成分が違い、カルシウムの含有量が釉薬の溶け方に影響します。毎年同じ農家から分けてもらっていますが、剪定の時期や木の状態で成分が微妙に変わります。それが焼き上がりの色に出ることがあります。
水簸(すいひ)と乾燥
集めた木灰は、まず水に溶かして不純物を取り除きます。これを水簸といいます。水に溶かして上澄みを捨てる作業を3回から5回繰り返し、細かい灰だけを残します。その後、平らな容器に広げて自然乾燥させます。乾燥には季節によって2日から1週間かかります。
乾燥した灰は粉砕して篩にかけます。粒の大きさが均一でないと、釉薬の溶け方にムラが出ます。この工程は地味ですが、仕上がりの安定に直結します。
山土との配合
木灰だけでは釉薬として使えません。広島近郊の山から採取した土(長石質の白土)と混ぜて、溶融温度と粘度を調整します。現在の基本配合は木灰7、山土3ですが、焼成温度や素地の土の種類によって比率を変えます。
この配合比率と焼成結果を記録しているのが配合ノートです。同じ配合でも焼成温度が10度違うと色が変わることがあるので、温度と時間も必ず記録しています。
配合ノートを読み返すと、失敗の記録の方が多いです。でも、その失敗の積み重ねが今の釉薬を作っています。